2013年 第12回LSTR療法学会 学術大会 
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メインテーマ:「より良き術後経過を求めて」

〔教育講演〕

「知覚過敏」のプロトコール

宮城県  宅重 豊彦

 以前から会員の中には、本学会の定めたプロトコールを待望する声があった。しかし、個人としての試みはあったが、それが発展してオフィシャルのプロトコールとなることはなかった。その理由は、本学会が未熟であったためと思われる。その全てが解決されたわけではないが、少なくとも“オフィシャルのプロトコール”を 必要と考えるまで成長した会員が多くなったと言える。
 多岐にわたる疾患のプロトコール作成は、大仕事になるであろう。時間も労力も必要な上に、出来上がったプロトコールを使いこなし、成長させていく意思と能力が必要だ。その意味で“期は熟した”のかなと思う。
 プロトコールの作成に当たり留意した点は、単なる症状の記録に留まらず、本プロトコールを使うことで以下の点を実現出来るものとしている。
(1)医学では当たり前のルール、“検査ー診断ー治療”の流れに沿って治療できる。
(2)他疾患との鑑別ができ、その上で治療のやり方にたどり着ける。
(3)学会員の共通したデータベースとなる。
 プロトコールは、当然ながら、疾患別に作られるので何種類か作られることになるが、入り口は1つで出口数個という形になると予想される。全容が現れるのは最後になるだろう。オフィシャルプロトコールの発表は、本学会のシリーズものとなる。
 第一回目の今回は、知覚過敏(HYS)をとりあげた。知覚過敏は、何だか分からないが、不快な症状(主に冷反応、時に熱反応や咬合痛を伴う)があり、患者にも治療する側にとっても悩ましい疾患である。知覚過敏材なるものが沢山市販されているし、健保では1回の処置で片付くものとされている。ところが、臨床の現場ではそんな簡単には片付いていない。『冷たいものがシミルので知覚過敏の処置を受けたが治まらないので抜髄宣告をされた』と言って来る患者が多い事で、実態を垣間見ることができる。
 冷水痛は、知覚過敏の主症状だが、象牙細管の露出の他にう蝕や歯周病、歯髄炎、歯冠破折、咬合不良などでも見られる。つまりこれらの疾患との鑑別無くして適切な診断も治療も無い。プロトコール1枚にチェックを入れると、どのような検査をすればいいのか,その結果をどのように読めば的確な確定診断が出来き、次に的確な処置を見いだせる“オフィシャル プロトコール”を示す。

 


 
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