学会報告を待つまでもなく、LSTR 3Mix-MP療法は会員各位によって種々の方向に展開 している。しかしながら、資金力と組織が必要な「治験」の実行が困難なため、保険適応されていないことに因る制限と普及の遅れのあるのも事実であろう。LSTR
3Mix-MP療法 は、この療法の有効性を実感している臨床医に支えられていると言っても過言ではないし、この有効性の実感は実際にLSTR
3Mix-MP療法を行ってみないと分からないものなので、 未経験臨床医に如何に試行して貰うか、あるいは良好な臨床成績を得るために「正しい」臨床術式を修得して貰うため、研修の実施を通して学会としての本療法の普及を図っている。
患者の側からは、できるだけ「削らない」、「取らない」、「残す」ということが、歯科医療に意識の高い人達を中心に注目されて、この意味でのさらなる情宣も重要と思われるが、受診受入体制の不十分さもあって、学会としてはそう積極的ではなかったが、指導医、専門医、認定医数の増加と共に、これらの専門家による情報発信は重要となりそうだ。
海外の状況としては、研究論文や、個人的に細々と提供する情報に依存するため、海外での波及は遅々たるもので、また、海外の治療資材の入手困難もあって治療実績は限定されている。海外では入手しにくい資材を考慮した治療システムの改変も視野に入れる必要がある。一方、種々の国の歯科医療関係者からのみならず、やはり歯科治療に対する意識の高い患者からの問い合わせのメールもしばしば届く。殆どは現地の歯科医を紹介して欲しいと言う内容であるが、中には日本に行くから診て欲しい、という依頼も少なくない。
近年、旅行と受診とを兼ね合わせた先進医療受診旅行が増えている、とも聞く。LSTR 3Mix-MP療法も海外からの患者の需要を満たすことができる態勢を整えるのも一考と思
われる。結果的に、一回来院治療完了の手技の確立と確信、求めるべき治療代金、あるいは必要な予後判断のための情報伝達、等の考案や再考などの役立つと思われ、ひいては邦人の治療にも還元されうるものと考えられる。
今回はLSTR 3Mix-MP療法に負わされた種々の制限とその対策を会場の会員と検討、 議論すると共に、LSTR療法学会唯一の海外在住専門医であるDr.
Reniに海外からの患者 治療経験の紹介を依頼したので、海外患者日本でのLSTR 3Mix-MP治療態勢整備の一助 にしたい。特に特別な臨床技術は必要なく、日常の基本的なLSTR
3Mix-MP治療の延長 線上で海外患者の対処をしていることや、さらには、治療機会が限られる海外患者治療 に当たっての特別な臨床的、あるいは事務的な配慮の示唆があろう。
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