第16回LSTR療法学会 学術大会 2017年
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メインテーマ:「治療術式のレベルアップを求めて」

〔口頭発表〕

『交通事故による脱臼歯牙(根未完成歯)の再植症例
         −舌側固定を中心に− 』 

寺西 信吾

目的:

 交通事故で救急病院に搬送され、退院後に脱臼歯の再植を熱望された場合、歯の脱臼後の時間が比較的経過し、その間の保存状態も明らかでない。特に歯根膜細胞の変性状態、 脱落歯の細菌感染対策や再植後の物理的な動揺を防ぐことに慎重な対処が求められる。
  今回、LSTR 療法3Mix-MP法による脱臼歯並びに周囲組織の無菌化を行い、再植後の細菌汚染を防ぐため歯周組織および歯の空間の無菌化封鎖、並びに再植歯の挺出を最小 限とするために舌側固定、リテーナーを装着した。術後8ヶ月以上を経過し、患部に腫脹や歯槽骨吸収X線像などもみられず、順調な回復が認めれているので報告する。
 

    
考察:

 患者(当時8歳男児)は、2016年11月の交通事故の救急治療後、脱臼歯を持参し、再植を希望された。なお、患者は以前より当院で診療経験もある。脱臼後、時間が経過していることもあり、細胞保存液で洗浄、浸漬して、歯や歯根膜細胞の変性などの有無を肉眼で観察したところ、過去の、脱臼直後の歯と比べて、特に異常は認められなかった。
従って、3Mix-MP法に従い、脱臼歯を元の歯槽窩に戻した。細菌汚染を防ぐため歯周組織と歯の空間を接着剤で封鎖した。その後、再植歯が歯槽窩より挺出を防ぐための舌側固定に加えてリテーナーも装着。
  再植後、8ヶ月以上経過するが、歯、根尖部や歯槽骨に異常はみられず、歯の生着は良好 とみなされる。


 良好な経過の要因として、
 @歯根部及び本体の無菌化に成功
 A歯根膜細胞の変性が軽微であったこと、
 B脱臼歯と歯周組織の隙間を接着剤で封鎖して細菌汚染や上皮の迷入を防いだこと、
 C接着剤は歯と歯の隙間にも入り動揺を防いだこと(固定)、
 D金属による舌側固定は、歯の提出を防いだこと、などが考えられる。

 

 


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