第16回LSTR療法学会 学術大会 2017年
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メインテーマ:「治療術式のレベルアップを求めて」

〔教育講演〕

『歯を残すことにこだわって』 

戸高勝之 (3Mix-MP法指導医)

 私の3Mix-MP法(正式にはLSTR3Mix-MP療法)との出会いは1998年、日本歯科評論の特集「より大きな効果を引き出す3Mixの臨床応用法」ですので、今年で20年目になります。当時を思い出すと、従来法の強い呪縛に翻弄され、3Mix-MP法との間を右往左往した苦い記憶が蘇ってきます。
 3Mix-MP法の中で、最も早く臨床に取り入れることができたのはNIETでした。九鬼先生の言葉を借りれば、これは“ミラクル”神わざです。これ一つで3Mix-MP法を学ぶ価値は十分、お釣りが来ます。Save-Pulp療法は、レントゲンの読影と歯髄診断の難しさからいまだにまだまだの感を拭えません。5〜6年前から臨床に導入しはじめたのが咬合治療です。3Mix-MP法に比べるとまだまだ経験が浅いので初級のレベルですが、患者さんの信頼を得る貢献度は大きく、頑固な冷水痛をその場で除去してあげると、患者さんから、さも“魔法使い”に出会ったかの視線を受けるのは実にこころよいものです。
 3Mix-MP法や咬合治療は、学べば学ぶほど従来法とは別次元の奥の深い治療法だと感じています。学会や講演会、最近ではスカイプ症例検討会が一番の学びの場になっていますが、毎回気付きと発見、驚きがあり、治療への新たな可能性を感じ、翌日からの診療(どんな患者に出合えるのか)が待ち遠しくなる経験を今なお味わい続けているといったら言い過ぎでしょうか。
 しかし、3Mix−MP法の習得に多くの困難が伴うことは多くの先生が実感してきたことです。私もいまだにその渦中にいます。それでも、教えを“忠実に真似る”ことから始め、臨床の場で実践し、症例を増やし、経過観察を続け、症例を整理し、それを本学会で発表することを繰り返すことでようやくここまで辿りつくことができたと思っています。
 今日の講演では、これまで本学会で発表してきた症例のその後を整理し供覧します。10年以上経過症例もあり、その経過を見ることで3Mix-MP法と従来法の治癒像の違いを感じてもらえればと思います。また、3Mix-MP法は細菌性の歯科疾患であれば1回の処置で治療が完結します。したがって、一口腔単位の治療でも、迅速に後戻りすることなく着実に前に進みます。従来法に比べ格段にスピードアップした治療をお示しできればと思います。さらに、2年ほど前、母校で3Mix-MP法の講演をさせていただきました。演題は「歯を残すことにこだわって」でした。Save-Pulp療法、NIET、を駆使すれば、歯を長期に残すことが可能になってきました。初診時すぐに抜歯されてもやむをえない1本の歯をどこまで残すことができるのか症例を提示したいと思います。
 最後に咬合治療(反射咬合誘導法)の当医院での活用法をご紹介させていただきます。反射咬合誘導法は、当学会員でもまだ実際の臨床に導入されておられる先生は少ないと推察します。それは、天然歯を最初から削ることへの抵抗感と、診断と効果の判定の困難さからではないでしょうか。私は効果判定に日本全身咬合学会の健康調査質問表を使っています。これを活用すると反射咬合誘導法の効果を客観的に評価でき、導入への大きな手助けになるのではと考えています。


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