歯髄に炎症が起こると、一部性から全部性へと拡大し、遂には歯髄壊死に陥る。従来の 歯科治療では、歯髄の炎症を止める事も、壊れた歯髄細胞を回復することも難しいとされている。だから従来法では、歯髄の一部分の炎症でも、これ以上強い痛みに苦しまないために抜髄する。抜髄して根充した後で、歯根膜炎が起こっている症例に遭遇することはよ
くある。X線写真では、根管充填がされているのに、根尖にびまん性の透過像があり、温熱痛がみられる症例。歯髄が取られているはずなのに、歯髄反応がみられる症例の一例で
ある。こういう症例で、根充剤を取り除くと知覚がある。わずかながら歯髄細胞は生き残 っているのだ。
かつて、抜髄ー根充した歯の病理標本を作ったことがあった。根充剤の隙間に歯髄細胞 が生存しているかをみるために、歯根の横断面と縦断面を観察した。不定型な根管の横断
面と、φ1〜2mmのリーマーでの拡大で、隅々までカバーできるはずもなく、随所に歯髄細胞は生き残っていた。生きている歯髄を救済するするのが3Mix-MP法のSavePulp療
法ならば、生きている歯髄細胞が根充された根管の中であっても、その治療はSavePulp 療法の範疇と考えるのは当然ではないか!根管内の歯髄細胞は、根管の無菌化により、そ
のまま生き残るか、増殖して歯髄再生に働く。もしくは、細胞死の転機をとる。もしも細胞死となった場合でも、無菌化されていれば根管は石灰化物で密閉されるか歯髄様軟組織
で満たされる。このような反応により、歯根膜炎の発生を抑えている。
歯冠ー歯根の歯髄腔を無菌化することで、歯髄や歯根膜の疾患を抑えることができると分かった。 便宜上、歯冠歯髄Save療法と歯根歯髄Save療法に分けると、従来「NIET」の
治療対象とされてきた疾患も「歯根歯髄Save療法」、すなわち3Mix-MP Save療法の対象 であることが理解できる。
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