3Mix-MP法の成功の鍵は,感染歯質の無菌化と完全な密封による無菌化状態の維持にある。ところが口腔内には唾液,舌,頬粘膜など一連の無菌操作,密封操作を困難にする因子が存在する.これらの因子を回避するために通常はラバーダムが使用されるが操作が煩雑であるうえ機能に限界がある.本研究は新しい防湿システム"多機能バキュームチップZOO"(ZOO)を3Mix-MP法に応用する際の臨床術式を検証するために行った。
我々は日常臨床で容易に使用でき,接着や無菌的処置に適した口腔内環境を容易に作り出せる高性能な防湿システム"多機能バキュームチップZOO"(ZOO)を1996年に開発,特許取得,製品化して臨床に応用している.
ZOOには吸引管としての機能,防湿機能,口腔内を乾燥させる機能,舌や頬粘膜を圧排する圧排器としての機能,開口器としての機能等がすべて組み込まれている.ZOOを口腔内に装着すればこれらの機能が同時に働き,接着や無菌的処置に適した環境を口腔内に容易に作り出すことができる.今回我々はZOOをSave
Pulp 療法及び LSTR 感染根管治療に応用し臨床結果を評価した。
ZOOをSave Pulp 療法及び LSTR 感染根管治療に応用し良好な臨床結果を得た。
宅重は3Mix-MP法が好結果を得るための条件として,病巣と口腔内環境を遮断すること,薬剤の働きを阻害しない術式を行うこと等を挙げている。これは即ちIsolation,
Retraction, Dehumidificationの重要性を表わしている。
ZOOは前述のような複数の機能が備わった新しい防湿システムであり,ZOOを装着した口腔内環境での臨床術式は,宅重の提唱する3Mix-MP法成功の条件を満たす。
従ってZOOは3Mix-MP法に適した防湿システムであると考えられる。
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