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第6回LSTR療法学会 2007年度学術大会 2007年9月16日 |
特別講演 |
「慢性免疫病の根本治療―IgA腎症の根治治療を中心として―」 |
仙台社会保険病院 腎センター長
堀田 修 先生
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最近の20年間で膠原病、腎臓病、慢性皮膚疾患などを代表とする慢性免疫病において、症状を軽減、緩和する対症治療に関しては、新しい免疫抑制剤や生物学的製剤の登場により様々な進歩がもたらされた。しかしながら、慢性免疫病の根治に繋がる治療法は残念ながら殆ど見当たらない。例えば、関節リウマチにおいて生物学的製剤はしばしば著効するが中止により症状は再燃する。また、腎炎においてもステロイド、免疫抑制剤などで一旦、腎症の寛解が得られても薬剤の減量、中止により再発する頻度は高い。
このように慢性免疫病に対する治療の多くが対症療法の域を越えることが出来ない理由は、医学研究の大半が疾患の症状に焦点をあてた分析的研究にとどまり、疾患の真髄に迫るようなダイナミックなアプローチが十分なされてこなかったことによると思われる。現代医療が「木を見て森を見ず」と比喩される所以であろう。
多くの慢性免疫病の成立には持続的な抗原刺激の存在が必須である。中でも扁桃炎、鼻咽腔炎、歯周病などの耳鼻咽喉科、歯科領域の慢性感染病巣は持続的抗原刺激をもたらす原因として特に重要な位置を占める。病巣感染症学とはそれ自体は症状が乏しい局所の病巣感染(上流の点)と免疫病の症状を生じている病変そのもの(下流の点)との間に線を引く学問である。
慢性免疫病の根本治療を行うためには、症状の原因になっている病変・病態(下流の点)を分析的手法を駆使して正確に把握し、それのみならず、免疫異常を惹起する原因となる病巣感染などの「上流の点」を徹底的に探索し、そして、二つの点を結ぶ線を科学的に証明することが必要である。
本学会では病巣感染である慢性扁桃炎(上流の点)に対する扁桃摘出術と下流の点と、二つの点を結ぶ線に対するステロイドパルスの併用療法で根治治療が可能になったIgA腎症(本邦の透析導入の原因として第二位)を例にとり、慢性免疫病における病巣感染の免疫学的特徴と役割、さらには慢性免疫病の根本治療のあり方について発表する予定である。「木を見て森も見る医療」を提示できれば幸いである。 |
【講師紹介】 |
堀田 修(ほった おさむ) 医師 |
1957年 愛知県生まれ |
専門領域は腎臓内科学 |
医学博士 |
日本腎臓学会評議員 |
研究領域は腎臓病の診断学と治療学,免疫病 |
これまで欧米医学雑誌に多数の論文を発表.中でも2001年,2002年のAM
J Kidney Diseaseに発表したIgA腎症の根治治療は世界に衝撃を与えた.
これまでに1000例を越すIgA腎症の根治治療の実績を持つ. |
現職は仙台社会保険病院腎センター長 |
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【略歴】 |
1983年 |
防衛医科大卒業 |
同年 |
防衛医大附属病院第2内科 |
1989年〜 |
仙台社会保険病院腎センター |
1999年〜 |
腎センター部長 |
2006年4月〜 |
腎センター長 |
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【主な研究領域】 |
1. 腎臓病治療学 |
IgA腎症に対する扁摘+ステロイドパルスによる根治療法 |
(AJKD 2001:38:736, AJKD
2002:39:437, Nephron 2003:93:137, Semn Nephrol
2004:24:244) |
急速進行性腎炎の治療 |
(Lancet 1998:352:203, Nephron
2002:91:601, JASN 2003:14:440) |
リポ蛋白腎症の治療 |
(AJKD 2003:41:244) |
LCDDの治療 |
(Nephron 2002:91:504) |
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2. 腎臓病診断学 |
尿中のマクロファージをはじめとする単核球、尿中脂質を分析し、腎症の活動性、進行性等の病態を解析 |
(Kidney Int 1998:53:1190,
Kidney Int 1999:55:1927, Clin Chim Acta
2000:55:1927, Kidney Int 2004:66:2374) |
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