破折歯には、口内法であれ口外法であれ、破折そのものに対する処置が必要となる。しかし、破折が疑われるものの、破折線が口腔内所見およびX線所見でも明瞭に確認できず、破折処置に躊躇する場合がある。今回はそういったケースの一例である。
破折に対する処置は一切せず、NIETのみを施した。NIETによる歯の無菌化が生体の治癒機転を促進し、破折や亀裂等が体内で自然に石灰化するのを期待して、現在経過を観察中である。
約9ヶ月後の経過観察では、口腔内所見、臨床症状ともに特に異常はみられない。
X線所見では透過像の縮小が観られるものの完治とはいいがたい。もちろん、術後の経過時間が短いので今後の経過観察が大切であるのは言うまでもない。
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