本症例は、事故による打撲によって歯髄死となった歯根端未完成前歯#21, #11,#12の歯のLSTR
3Mix-MP NIET治療例で、LSTR 3Mix-MP NIET定法によって治療を行った。
治療後、4年間にわたって特記すべき臨床症状はないが、歯根端部の根管は閉鎖されておらず
いわゆる歯根端形成が終了していない。
常態である歯根端の形成誘導が望ましいと思われるが、患者は同歯で噛めており、特に異常や不都合を感じていない。
近年、無菌化処理を行った根管底部の歯根膜を出血させ、根管内を血液で充満させ、もって 内部に新生毛細血管を誘導し、歯髄を再生する試みがなされている。
この様な症例とは別に、根端形成組織の破壊された場合に、歯根端の完成を最終目標と しない療法も意義があるように思われ、症例報告として提示する。
なお、開いた根端からは、恐らく歯根膜組織が流入していると思われ、この組織に存在している幹細胞機能により、必要であれば、歯髄機能の再生、あるいは根端の誘導を試みることができる予後結果となっている。
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