2011年 第10回LSTR療法学会 学術大会 
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口頭発表2 
的確な診断方法の確立を目指して
第5報: 3Mix-MP法の検査法としての側面ついて

貝出 泰範
(広島県廿日市市)

 目 的:

 

 

3Mix-MP法は歯牙内の口腔内細菌を全て死滅させることができるため,齲蝕歯に同法を適用す  れば,当該歯に残余した不快症状については細菌由来の原因を除外した診断を下し得る. つまり,同法が齲蝕歯の治療にあたって有効な検査法の側面を有するといえるのではないだ ろうか.今回は,複数歯に比較的大きな齲蝕が存在した3症例を通じて,このことの有効性を 提示したい.
方 法:

(症例1)
  7654 に齲蝕が存在し,特に 6は齲窩が大きく,本人は冷水痛,温水痛,夜間自発痛を主張 していたが,部位に関しては明確でなかった.冷水試験では76 頬側歯間部に反応があり,air 試験では 頬側歯間部に反応がみられた.温水試験ではいずれの歯にも反応がみられなかった.

(症例2)
 , に齲窩が存在し, に軽度の冷水痛が存在していたが,来院1週間前から比較的 大きな齲窩のの自発痛が徐々に強まっていた.本人は右側齲蝕歯の冷水痛が以前より存在 していたことから,左咀嚼が習慣になっていた.もっとも, の自発痛よりも右側齲蝕歯の 冷水痛が気になるとのことであった.冷水,air試験では,いずれも の齲窩および頬側 に反応がみられた.温水試験はすべて反応が無かった.

(症例3)
 8に齲窩が存在し,特には齲窩が大きく,強い冷水痛と夜間自発痛を主張し ていた.約6ヶ月前から左側には冷水痛が存在し,夜間自発痛も来院前1週間から発現. 強度の冷水痛は来院2,3日前から起こっていた.冷水,air試験では 7の齲窩に存在するものの それより 7の頬側に強い反応がみられた.温水試験はすべて反応が無かった.本人は咬合痛を 訴えてはいなかったが,割り箸を介在させると, に反応があった.

 

結果と考察:

 各症例の診断経緯と治療,症状の展開の詳細は口演時に説明するとして,今回提示した症例の ように比較的大きな齲窩が存在し,かつ,齲蝕歯が複数ある場合,まず細菌由来の原因を除外し,残余した症状に対して必要な処置を図るという姿勢で診療に臨むならば,治療術式および治療順序を含めて冷静に対応することできると考えられる.
 つまり,ある検査法の検査値が疾病の原因の一つを否定する内容を示すものであったなら,あえてその否定された原因をターゲットとした治療を行わず,別の原因をターゲットとする治療の展開を考えていくであろうし,また,それが効率的といえる.
  3Mix-MP法は,施術により歯牙内の口腔内細菌の存在を否定できるという点において,「検査法」として活用可能のように思われる.もっとも,検査に基づき有効に診断が下されるためには,その検査法が理論的に優れていても,その実際が信頼に足るものでなければ意味がない.
  要するに,検査のために採血した血液を高温多湿で直射日光に晒される環境下で保管しないであろうし,血液検査機器に雑菌の混入や汚染が予測されるようなマニュアルの存在は到底考えられないということである.
 すなわち,3Mix-MP法をある意味検査法と捉えるとしても,信頼性を保障する「薬剤の徹底管理」と「基本術式の厳守」が重要と考えられる.

 

 

 

 

 

 
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