2011年 第10回LSTR療法学会 学術大会 
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口頭発表3  難治性根尖性歯周炎の3例

中原寛子
(宮城県 独立行政法人国立病院機構宮城病院)

 

 他院にて根管治療を続けていたが、痛みがなかなか取れないという訴えで来院した3症例について、その経過を報告し、難治性に至った原因を考察する。

 

 症例1
47歳、女性
患歯:
左上犬歯
来院までの経過:
10ヶ月位前、痛みを感じ、他院にて根管治療開始。
治療の度に強い痛みが発現し、それが1ヶ月位続く。
 
当院での経過:
初診時3Mix-MP貼薬、2w後ケナログ貼薬、3m1w後3Mix-MP貼薬を
行い、4m2wで痛みが消失。
難治性となっていた原因:
根管治療時の機械的・化学的刺激と思われる。


 

 症例2
33歳、女性
患歯:
左上第二大臼歯
来院までの経過:
2ヶ月位前、痛みが生じ、他院にて処置し、痛み消失。
1週間前に2回目の治療で自発痛(+++)となる。
2日前に、別の開業医で処置した翌日、痛みが最強となった。
当院での経過:
初診時ケナログ貼薬、3w後痛みが消失。
難治性となっていた原因:
主として根管治療薬剤に対するアレルギー様反応と思われる


 症例3
57歳、女性
患歯:
右上犬歯
来院までの経過:
大学で3年間治療しているが、処置する度に強い痛みが1週間続く。
当院での経過:
来院の度に酸性水で根管内を洗浄し、初診時は3Mix-MP貼薬、その後は
デカドロン貼薬を続けるが、3m後に歯冠破折、その後に歯根破折を起こし、初診8m2w後に抜歯となる。
難治性となっていた原因:
根管治療時の機械的・化学的刺激と思われる。


まとめ:
根管治療に当たっては、治療操作・薬剤そのものが生体にとって為害性を持っているということを認識し、痛みの原因を感染にばかり求めず、治療操作や薬剤そのものに起因している可能性を疑ってみる姿勢も必要である。

 
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