抄 録:
う蝕が進行すると、やがてう蝕窩の細菌は、露出した歯髄に到達する。時には象牙細管を通過して歯髄内に進入する。特に創面に異物や壊死組織が混在している場合簡単に感染が起こることが知られている。口腔内、特にう歯髄疾患では、細菌数の多いこともあるが、こうした点からも感染が起こりやすいと考えられる。
既存の歯科治療では、細菌感染してしまった歯髄は基本的に除去すると考えています。しかし創面の洗浄と細菌の除去ができれば、免疫応答反応が弱いと考えられる歯髄であっても感染は治まると考えられる。すなわち病原菌が駆徐されると臨床症状は消失し、傷害された組織は再生する。こういう治療を「病巣無菌化組織修復療法=LSRT」といいます。
この療法では、無菌化することにより軟化象牙質を歯髄保護材として用いることができるので、軟化象牙質をすべて取る必要はありません。よって、ほとんど痛みが無く、短時間ですむので、特に非協力的な子供の治療には有効です。
今回は、この療法の一部であるところの軟化象牙質を最良の歯髄保護材として用いるsave pulp療法をご紹介させていただきます。
あと失敗例を一例ご報告させていただき、なぜ失敗したのか議論をとおして解明し、術式に反映させたいと考えています。
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