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Home >学術大会・総会 > 第3回LSTR療法学会 2004年度学術大会 >  LSTR 3Mix-MP 法の基礎(1)− 象牙細管内の細菌残存とその除去−
 
 LSTR 3Mix-MP 法の基礎(1)
     − 象牙細管内の細菌残存とその除去−

 星野悦郎(新潟大学)

 う蝕によるエナメル質の破壊は、口腔と体内組織を境界しているバリアーの破壊を意味 している。一旦バリアーが破壊されると、口腔に生息するありとあらゆる微生物が生体組織内に入り込んでくることになる。
口腔に生息する微生物の内、数の多い優勢細菌種の入り込む可能性が高いとはいえ、ある特別な細菌種だけが入り込むのではない。口腔内に生息している割合が極めて低い微生物は、う蝕病巣に侵入する可能性は低く、真菌類(カンディダなど)もこの部類に入る。
 生体組織内に侵入した細菌は、免疫機構によって除去される。除去されなければ死に至る事になる。この除去作用が炎症として発現され、症状となる。細菌除去作用の中心的役割を果たす食細胞は、その径よりもずっと小さい口径の象牙細管内には入り込んで、細菌を除去するのは容易ではなく、実際、多くの報告が象牙細管内の細菌残存を示している。
 象牙細管内に残存していた細菌、あるいは象牙細管内で増殖した細菌が移動して歯髄や歯根膜等の結合組織に出てくると、その部に急性炎症を惹起し(その作用の程度によって臨床的な症状を呈す場合と呈さない場合がある)、結果的には食作用で除去される。しかし、象牙細管に残る細菌は残存し、増殖した1部の細菌がまた、結合組織に出て急性炎症を繰り返す。すなわち、象牙細管内に慢性的に残存し、急性炎症を繰り返す。その結果、歯髄炎や根周病変を引き起こす。通常の感染症とは大きく異なっている。
 う蝕病変の治癒には、象牙細管内の細菌の除去・制御が必須となっている。生体機能として自然に起こる除去作用が不充分であるなら、したがって、人工的な除去を必要とする。何処に残存しているか分からない細菌の除去を求めて、広汎に象牙質を削去するか、象牙細管内の細菌の殺菌を目的として(結果的には歯と歯の周辺の細菌の殺菌にもなっているが)、象牙質を意図的に残すLSTR 3Mix-MP 法か、の選択は歯科医の手に委ねられている。
 本口演では、その選択に明確な自信が持てるよう、象牙細管内の細菌残存の意味と、LSTR 3Mix-MP 法による残存細菌の除去の利点について、明快、平易な解説を試みる。

 

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