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Home >学術大会・総会 > 第3回LSTR療法学会 2004年度学術大会 >  残根状歯牙における仮封術式の検討
一般口演
残根状歯牙における仮封術式の検討

 貝出泰範(広島県)

〈目的〉
 3Mix-MPを根管治療に応用する場合,水分と接触しないことは薬効維持のために重要と されています。そのため,手軽で優れた封鎖性を有するキャビトン(水硬性セメント: GC社製)が頻用されていますが,歯冠部が著しく崩壊した症例等では,良好な仮封状態を確保することが困難なような印象を与える場合があります。
そこで今回,残根状歯牙をキャビトンで仮封する際の,その封鎖性向上を図るための検討を行いました。

〈方法〉
【基礎的検討】
 残根状態に形成した抜去歯牙の貼薬着座にデンプン糊を少量採った綿球を置き,キャビトンにて仮封後,ヨードを含んだ水に浸漬し,ヨウ素−デンプン反応を利用してキャビトンの封鎖性を検討しました。

【臨床的検討】
 後述する「レジン壁」を築造した残根状歯牙32本に根管治療を施し,その根管充填が終了した時点で再度貼薬着座を形成し,次回の支台築造処置までの期間を対象として,キャビトンによる封鎖性を検討しました。封鎖が確実であったかどうかについては,キャビトンを除去した際に3Mix-MPの付着した綿花が
  @「鮮やかな黄色」であるか否か
  A「乾燥」しているか否か
の2点で判断しました。
 
〈結果および考察〉
 基礎的検討では,たとえ残根状態ゆえにキャビトン層が薄くなったとしても,同材料の封鎖性は高く,安静状態が確保されれば,水分の浸入は考えにくいことが示されました。
よって,キャビトンによる仮封の封鎖状況が障害されるとすれば,同材料が硬化するまでの間に,舌,頬粘膜および食塊等が接触し,間隙が生ずるためではないかと考えられました。
そこで,臨床的検討ではキャビトン層が外圧から保護されるよう充填用レジンにより残存歯質上に「レジン壁」を築造する術式を採用し,その場合の封鎖性を検討しました。
 臨床的検討を行った32本のうち31本が上記@,Aの条件を満たしていました。
残りの1本は残根状態が著しくかつ同部位での咀嚼中止が完全に履行されない場合でした。
しかし,再度3Mix-MPを貼付しキャビトン及びフジ\にて二重仮封を施すと,次回には上記@,Aの条件を満足していました。
 以上のことから,「レジン壁」を用いた仮封術式は,残根状歯牙をキャビトンにて根管封鎖する際の有効な方法の一つであることが示唆されました。もっとも,状況によってはキャビトン及びフジ\の二重仮封で対応しなければならない場合もあることに留意すべきと思われました。

 

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