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   第5回LSTR療法学会 2006年度学術大会 2006年9月17日

ポスター発表
慢性潰瘍性歯髄炎が急性化した症例への一工夫
大平眞悦

 

目的:

 従来の歯内療法では、自発痛のある歯髄炎はほとんど抜髄となっている。
LSTR 3Mix‐MP療法のSave pulp療法は、自発痛のある歯髄炎でも歯髄を保存できる。ただしその成否はLSTR 3Mix‐MP療法の基本術式をクリアし、かつ歯髄に対していかに機械的・化学的刺激を少なくして治療するかにかかっている。今回、Fuji IX GPで3Mix‐MPを密封、被覆をする際、その操作を2回に分けて行うことによって、Fuji IX GPの硬化熱を極力押さえ、内圧が高まって自発痛のある歯髄に対して刺激を少なくする方法を試みた。

 

方法:

患者:34歳。女性・

主訴:7」 約1ケ月前より痛みが出て、ここ数日強く痛む。

現症:約6ケ月前にインレー脱落したが、そのまま放置していた。自発痛(++)打診痛(++) 咬合痛(++)
X線写真所見:う蝕は歯髄に達している。歯根膜炎像は認められない。

診断:慢性潰瘍性歯髄炎の状態で経過していたが、食片圧入など機械的刺激及ぴ若干の嫌気環境により急性症状が出現した。打診痛、咬合痛による歯根膜炎症状を呈しているが、X線写真所見では異常がないので、歯髄充血によって根尖部の神経が圧迫された歯根膜炎の初期段階と考えられる。

処置:2000,10,16,Save pulp療法の露出歯髄の無菌化術(SEP)を行う。

通法
@通法通りう寓の整理(機械的・化学的刺激を極力小さくするよう気をつける)

A3Mlix-MPをう蝕象牙質上に築盛する際、まず3Mix‐MPを貼薬する部位を取り囲むようにFuji lX GPを窩洞の辺縁頸部寄りから壁を作るように築盛する。硬化後、3Mix→MPを貼薬し、綿球で軽く庄し、薄くのばして、それを被覆するようにさらにFuji IX GPを築盛する。

BCRインレー直接法を行う。
 2000,10,17 咬合調整
 2004,12,1インレー装着、症状もなく予後良好で現在に至っている。

 

結果と考察

@術後6年弱経過したが予後は良好である。

AX線写真所見では、窩底に軟化象牙質の再石灰化が認められる。

BFuji IX GPを2回に分けて3Mix-MPを密封、被覆をするすることによりFuji IX GPの硬化熱は極力抑えられ、歯髄に対して刺激を減少し自発痛の軽減になる。また壁を作ってから3Mix‐MPを貼薬するので、3Mix一MPが流れたり、浮き上がったり、位置がずれることも防止できる。

C治療翌日、自発痛がまだあり、咬合調整し改善した。治療当日咬合調整を十分注意して行ったつもりでしたが、自発痛がある場合患者自身も強く噛めないので、咬合調整が不十分だったのではないかと考えられる。従って1〜2日後に自発痛が残る場合、咬合チェックが必要であると考える。

 

 

 

 

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