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   第6回LSTR療法学会 2007年度学術大会 2007年9月16日
ポスター 4
歯内歯周病変が著明に改善した1例
中原寛子(宮城病院)
     
目 的

 歯周病と根尖性歯周炎とが混在していて、両病変がつながっている状態は、歯内歯周病変と呼ばれる。そのような場合、根管が細菌の格好の住処となり、歯周治療を優先させてもポケットの改善は望めない。従って、ます根管治療を済ませて、いわゆる死腔を無くしてから歯肉縁下のスケーリングや、歯周外科手術を行うというのが従来法では基本となっている。

 3Mix-MP法では、3Mix-MPを貼薬して密封し、一定の閉鎖空間を完全に滅菌して生体の治癒能力を最大限に発揮させることが基本であるから、歯内歯周病変に対しても、根管治療と同時にポケットの封鎖を図ることが重要である。しかし、人工物によって封鎖をすることが困難なポケットからの細菌侵入に対しては、その間口の広さによっては難渋することも多い。

 本症例の場合には、根充アンダー部分がいわゆる死腔となることもなく、長期にわたる過酷な条件の下に置かれた歯であったにも拘らず、短期間に著明な改善が見られた。

 

症 例

72歳、女性、  患歯:左下第二小臼歯

3年間、近所の開業医に通い、消毒を繰り返してきたが、改善の見込みが立たないため抜歯を覚悟しつつ当科に来院

2006年5月30日: 初診
動揺度3(咬合時圧下し違和感あり。自発痛なし、打診痛なし、冷水痛なし。
頬側根尖部遠心寄りに瘻孔、同部より圧迫排膿あり。咬合調整しデンタル写真撮影
2006年5月31日
歯頚部より2−3mmのところまでタービンで壊死組織を除去し、12%EDTAを1分間作用させた後に水洗・乾燥・3Mix-MPを貼薬してキャビトンで仮封
2006年6月1日
瘻孔周囲組織の緊張度が緩和し、排膿量が減少
根尖狭窄部までリーマーで根管を拡大、再度、3Mix-MPを貼薬してキャビトンで仮封
2006年6月2日
瘻孔が閉鎖
2006年6月5日
根尖狭窄部より2mmアンダー根充し、フジナイン、直接レCRインレーにて封鎖し、デンタル写真撮影
2006年6月7日
瘻孔再発、同部より圧迫排膿あり。
遠心舌側のポケットを探りながら、少し強くポケット探針を押すと8mmまで入った。
第一小臼歯と連結固定し、浸潤麻酔後、ポケットと瘻孔から超音波スケーラー、次いでNIETバーを使って、膿瘍に接する歯肉やセメント質表面掻き取り,ポケッと瘻孔との交通を確認,3Mix-MPをNIETキャリアでポケットと瘻孔から貼薬
抗生剤と鎮痛剤を処方するが、痛み出ず鎮痛剤不使用。
2006年6月8日
排膿なし。
患者の都合により来院途切れる。
2006年10月25日 半年後再初診
瘻孔は消失しており、違和感なく食事できるとのこと。デンタル写真撮影
2007年6月18日 1年後再初診
疼痛・違和感などの自覚症状なし、視診にて異常なし。デンタル写真撮影。
考 察

  本症例は年齢の割に体力もあり、魚や野菜・果物を豊富に摂取していて栄養状態も良く, 口腔清掃状態も良好であったことが、長期にわたる過酷な条件の下に置かれた歯であったにも拘ず歯槽骨頂部が保たれ、掻爬後のポケット内上皮の再付着がスムーズに行なわれたベースになったものと思われる。根充後の瘻孔再発後には根管治療を行なっていないが、根尖部のスペースも死腔になることなく、掻爬・貼薬・服薬によって治癒に向かった、これは、根管貼薬
時の3Mix-MPがまだ有効な状態で象牙細管中に浸透していたこと、瘻孔再発時間を置かず歯周治療を行なったこと、歯周治療時に3Mix-MPを膿瘍内に貼薬したことなどが大きいと思われる。骨の造成の順序としては、半年後に根尖性炎症によるものと思われる根尖周囲の透過像が薄くなり、遠心部の骨頂が厚くなっており、1年後には遠心の辺縁性炎症によるものと思われる透過像が薄くなった。
         

    

 

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