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Home > 学術大会・総会 > 第7回LSTR療法学会 > 的確な診断方法の確立を目指して 第2報:冷水痛を例に診断方法を考える

   第7回LSTR療法学会 2008年度学術大会 2008年9月14日
テーブルクリニック

的確な診断方法の確立を目指して
第2報:冷水痛を例に診断方法を考える

 ○貝出 泰範
目 的

 大きな齲蝕を有し,かつ顕著な冷水痛を伴っているような場合には,多くの場合局所麻酔が施され齲蝕治療が行われるのが教科書的と思われる。しかし,局所麻酔が施されると痛覚がなくなるため,3Mix-MP法を適用したとしても削り過ぎにより予後不良となり歯髄炎から抜髄処置を余儀なくされることが懸念される。つまり,齲蝕治療を行うに当たっては,患歯の冷水痛が必要最小限度の歯牙切削を可能にするまでに軽減されていることが必要と考えられる。  そこで今回冷水痛を有する歯牙の特徴を探求したところ,上記のような症例の処置の際に助けになると思われる若干の知見を得たので報告する。

 

方 法
対象歯

 

 

冷水痛はあるもののcaries free,もしくは小さな充填物を有するがcaries freeと思われる 歯(67症例)。
検査方法

 

 

 患者に立位にて高速タッピングを行わせ,その際のタッピング位置を咬合紙で確認し,強く 接触する部位をダイヤモンドポイントにて僅かに削合を行い,冷水痛の変化をみた。 必要に応じて擬似作業側ないし平衡側においても同様に行った。 一度の咬合調整で冷水痛軽減が少ない場合には,もう一度咬合関係をチェックしたのち前述と 同様の咬合調整を行い冷水痛の変化を検査するが,それ以上は行わないこととした。
評価方法

 

 

 検査項目(歯牙種別,咬合接触位置,処置前の冷水痛の程度,不快期間,咬合位, 冷水痛の軽減割合)間相互の関連を統計的に検討した。

 

結果と考察
 一回ないし二回の咬合調整によって,54症例(80.6%)で冷水痛が許容できる範囲(−〜+/−) に変化した。咬合調整を行っても冷水痛の軽減が無いかまたは少ないケースには,修復物の 接着不良(4例)や歯牙の亀裂(1例)が原因と考えられるものがあり,それらの問題を解決 すると冷水痛は軽減した。
 また,冷水痛等の不快症状が長く続くと,冷水痛惹起に関与すると思われる咬合接触異常が 当該歯牙以外,例えば患歯より後方ないし反対側の歯牙に存在する傾向が認められた。 ただ,8症例(11.9%)については今回示したような程度の咬合調整では冷水痛は軽減され なかった。
 以上のことから,咬合は歯の冷水痛に大きく関与しているといえ,冷水痛を伴い大きな齲窩を有するようなケースにおいては,従来の診断方法に加え詳しい問診とともに広範囲に咬合関係を事前にチェックないし調整することが疾病診断の一助となり,また局所麻酔を使用しない齲蝕治療を可能にする要因の一つと考えられた。 

 

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