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Home > 学術大会・総会 > 第8回LSTR療法学会 > 的確な診断方法の確立を目指して 第3報: save pulp療法における術前,術後の不快症状の集計結果から齲蝕歯の診断を考察する。

   第8回LSTR療法学会 2009年度学術大会 2009年9月20日

的確な診断方法の確立を目指して
第3報: save pulp療法における術前,術後の不快症状の集計結果から齲蝕歯の診断を考察する。

貝出 泰範
目的

 筆者は一昨年の第6回LSTR学会学術大会において,齲蝕等の治療に当たっては従来の診断方法に加えより詳細な検査項目や検査方法の必要性を示唆し,昨年の第7回LSTR学会学術大会においては,こうした検査結果から咬合関係の不調及びその不調期間の長短が,そして患歯以外の歯の接触関係などが冷水痛惹起に関与していることを統計的に示した。
 そこで今回はsave pulp療法を施した歯牙について,事前,事後の冷水痛等の不快症状発現に対して多角的な検査及び処置により得られた結果から,いわゆる齲蝕歯の“診断”について考察した。

 

方法

save pulp療法を行った535例を検査対象とした。事前,事後の不快症状の評価基準は以下に示すとおりである。

自発痛;−:無症状,+:夜間痛を有しない程度,++:夜間痛が存在する程度
冷水痛;−:無症状,+:エアーで顔を顰める程度,++:エアーで顔を背ける程度,+++:息を吸って痛い程度咬合痛;−:無症状,+:硬いものを咬むと痛い程度,++:タッピングで痛む程度

 

結果と考察
 集計結果の詳細は発表時に提示する。
 自発痛(++),冷水痛(+++),咬合痛(++)のいわゆる三重苦が存在した歯牙も5症例あったが,こうした症例を含め事前策を施し全症例無麻酔にて処置を行った。535症例中3症例については患者の希望もあり麻酔抜髄を余儀なくされた。処置前に存在した不快症状を概ね改善した後に齲蝕処置に入った場合は,処置後良好に経過する傾向が認められた。もっとも処置前には無症状でも処置後に不快症状が発現する場合があり,その原因については一定の傾向は示されなかったが,齲蝕が原因となっていない場合が多く存在した。
 今回の検討から,齲蝕歯の不快症状を極力処置前に取り除き3Mix-MP法を行うことは処置後の良好な経過を図るために有効であることが示された。また,処置前に無症状であっても処置後に齲蝕を原因としない不快症状が発現する場合も認められたことから,術前に齲蝕歯の状態を全てを診断することは困難であることが窺えた。したがって,こうした齲蝕歯の処置後の不快症状に対しても冷静に対処することができるためには,疑心暗鬼を払拭する意味でも正確な3Mix-MP法の施術は必須と考えられた。   

 

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