筆者は一昨年の第6回LSTR学会学術大会において,齲蝕等の治療に当たっては従来の診断方法に加えより詳細な検査項目や検査方法の必要性を示唆し,昨年の第7回LSTR学会学術大会においては,こうした検査結果から咬合関係の不調及びその不調期間の長短が,そして患歯以外の歯の接触関係などが冷水痛惹起に関与していることを統計的に示した。 そこで今回はsave pulp療法を施した歯牙について,事前,事後の冷水痛等の不快症状発現に対して多角的な検査及び処置により得られた結果から,いわゆる齲蝕歯の“診断”について考察した。
save pulp療法を行った535例を検査対象とした。事前,事後の不快症状の評価基準は以下に示すとおりである。
自発痛;−:無症状,+:夜間痛を有しない程度,++:夜間痛が存在する程度 冷水痛;−:無症状,+:エアーで顔を顰める程度,++:エアーで顔を背ける程度,+++:息を吸って痛い程度咬合痛;−:無症状,+:硬いものを咬むと痛い程度,++:タッピングで痛む程度