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疾患を治したい，歯科医ならば誰でも願うことである．しかし，所詮人間のなせる技である以上 ，神の域に達することは難しい．極一部の「God
Hand」と言われる人が，神業と言える治療を行い， 患者を救っている．
歯髄保存治療や感染根管治療において，3Mix-MP法は，従来法に比して圧倒的に優れた治療成績
であることが，宅重によって保存学会，IADR，FDIで発表されている．宅重が「God Hand」の持ち
主なのか，3Mix-MP法が優れた治療法だから好成績を得られるのか，問うてみた．
「3Mix-MP法をやるようになって，抜髄が無くなった」という会員の声は多い． 一方患者からは「3Mix-MP法で治療を受けたが，その後痛みがひどい」「3Mix-MP法で歯髄を残した
が，症状がでれば歯髄を取りますと言われた」という報告を少なからず得ている．
3Mix-MP法の歯髄保存治療を受けた後，痛みがひどい症例を再治療して，その場で自発痛を消すこ
とができた症例も少なくない．レベルアップ講習会での術式チェック，専門医認定試験の実技試験 等で原法どおり出来る人が少ない．こういう事実をどの様に解釈すればいいのだろうか．
歯科治療は恐ろしい．治療した跡がそのまま残っているので，その後に診た歯医者に，どんな 治療をしたのか分かられてしまう．この事を我々は意識しているだろうか？意識していれば，歯医
者の言い分と患者の言い分と私が診た症例との間に矛盾は生じないと思うが，いかがでしょう．
3Mix-MP法は，一つ一つの治療ステップを，実験によって検証されている．従って「何も足さな
い．何も引かない」と，原法の術式を遵守することを，機会あるごとにアッピールしている．
3Mix-MP法を宅重より「man to man」で教えてもらって10年，ようやく3Mix-MP法の概念を理解し
治療に自信を得てきたので，3Mix-MP法をマスターしたい会員の参考になればと思い，3Mix-MP法の
悪戦苦闘の歴史を紹介します．
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「薬をつかえば良いんだろう」の時代：従来法をやっているよりは好成績だったので満足して
いた． |
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「術後の不快症状に悩まされた」時代：適応範囲を広げたところ，術後に不快症状が発現し，結局従来法で後始末（抜髄や抜歯）をする結果となった．
3Mix-MP法に適応症の範囲は無い，ということから自分の術式の検証をはじめた． |
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「3Mix-MP法の概念を理解してから」の時代：3Mix-MP法の概念と術式は相互共有関係にある．
概念を理解すると，術式のone stepの重要性を初めて理解でき，術式の理解がふかまれば，概念を一層深く理解できることに気づいた．それまで，些細なstepと捉えていた手技が，如何に重要だったかを知ることとなった．
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今回，機会を得て，3Mix-MP法の体得体験記なることを話すことになった．3Mix-MP法を「つか
んだ」という感触を得たわけだが，症例を検証すると，結論として原法どおりの術式を完璧に行う ことだった事になった．宅重は「God
Hand」をもっているかもしれないが，3Mix-MP法が優れた 治療法で，示されている原法を厳密に，正確に行えば，誰でも宅重と同じ臨床結果を得られる事に
気づいた．すなわち，基本通りの治療術式を行うことが「進歩」なんだということを実感した． 省みれば，何時の時代にも「3Mix-MP法を分かっている」という気持ちは存在していた．しかし，
宅重と同じ臨床成績を出せるようにならないと「3Mix-MP法を理解した」とはいえないし，これま
で発表された臨床成績（例えばSavePulp療法では94％の歯髄保存に成功，NIETでは98％根尖病巣
の治癒に成功）を誰でも得られると思う．
今回は，3Mix-MP法で治療した症例を供覧し，以前の自分の術式をどこが違ったかを検証すると
ともに，自分の臨床成績を示す．
この発表が3Mix-MP法をマスターしたい会員の励みと自己変革のヒントになれば嬉しい限りである．
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