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   第9回LSTR療法学会 2010年度学術大会 2010年9月19日

●口頭発表 &テーブルクリニック●

的確な診断方法の確立を目指して  
第4報:Save Pulp療法を行った歯牙を再治療する前に 検討すべき内容

貝出 泰範
(広島県廿日市市)

目的:
 冷水痛などを有し比較的大きな齲蝕歯に対してSave Pulp療法を行った場合,その予後に一抹の不安を抱くことはよくあると思われる.そして,そうした処置歯に患者が冷水痛をはじめとする強い不快症状を訴えれば,修復物を除去し再治療をするか否かの決断を迫られる.
もっとも,筆者の経験からすると,3Mix-MP法を習得したばかりの頃は,自身の術式に対する正確性への疑念から,すぐに再治療に着手し,あとで歯髄が健全に近い状態であったことに気付かされたこともしばしばであった.すなわち,筆者の第7回LSTR学会での発表や,今までLSTR学会で報告されている内容のとおり,患歯に存在する不快症状は,そのままその時の歯髄の状態を十分に表現してはいないということは,こうした術後の場合にも当てはまると思われる.
しかし,処置後の経過時間が長くなれば,CR直接インレーなど修復物の辺縁封鎖性の劣化も想定されてくる.そうすると,患者の訴える症状が強く,複数にわたれば,再治療への衝動は,術後比較的近い段階よりも強くなることが考えられる.したがって,こうした状況下でも冷静に状態を診断し,再治療を行うべきか否かの基準を持つことは,徒に再治療を行うことを回避する意味でも重要と思われる.
そこで今回,比較的大きな齲蝕歯に対してSave Pulp療法を施し,2年以上経過した段階で冷水痛などの不快症状が強く,または複数発現した歯牙への対応をとおして,それら不快症状の発生原因を検討した.

 

方 法:

対象歯:従来法または従来の診断基準では抜髄を選択していたかもしれないと思われた齲蝕歯にSave Pulp療法を施し,2年以上経過した時点で冷水痛などの不快症状が発現してきた患歯9本.
検討方法:不可逆性または侵襲性の低い順に診断,施術方法を選択し,その発現原因を検討した.


基本的検討順位は以下の順である.
1.パノラマ,デンタルX線写真の精査,およびバイオフィードバック療法による咬合診断
2.修復物のみの除去
3.貼付してある3Mix-MPの除去
4.歯髄腔へのアプローチ

 

考察                                      

 結果的に歯髄腔にアプローチした症例は2例あった.この場合も,通法どおり生活反応を示した部分の歯髄は保存し,最終修復を行った.冷水痛,温水痛,自発痛および咬合痛の単独もしくは併存,ならびにその程度の如何に関わらず,咬合調整を行うことによってそれら不快症状のかなりの部分が消退した症例が6例存在した.また,上顎の1症例については,上顎洞炎が原因と考えられ,耳鼻科で投薬治療を受けることによって症状の改善がみられた.
 以上のことから,Save Pulp療法を行い比較的長期間を経て発現した不快症状に対し,咬合診断を早い段階で検討することは,患歯への不必要な再治療を回避する点からも非常に有効と考えられる.

 

 

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