日本語  ・English
    LSTR療法学会の概要
   学術大会  
   入会案内
   専門医制度

LSTR療法学会事務局

 

 
Home > 学術大会・総会 > 第9回LSTR療法学会

   第9回LSTR療法学会 2010年度学術大会 2010年9月19日

●口頭発表 &テーブルクリニック●

難治性根尖性歯周炎の1例

中原寛子
(宮城県 独立行政法人国立病院機構宮城病院)

痛みがなかなか取れないという訴えで、患者が来院した。
前医は、自発痛があったことから抜髄、根管治療、歯冠修復、再根管治療を5ヶ月間に亘って行っていた。

初診時症状

 患者は51歳の女性で、初診時、右上第一小臼歯の痛みを訴えていた。
症状としては、自発痛(−)、水平打診痛(+)、頬側歯肉根尖相当部圧痛(++)、頬側歯肉根尖相当部がやや膨らんだ感じがするということであった。
仮封を除去して綿栓を引き出すと、綿栓の先は明るい黄色で、臭いはほとんど無かった。
根管は2根あり、根尖狭窄部まで歯髄が除去され、根管拡大されていた。
咬頭嵌合位では咬合していなかったが、側方運動時に同側犬歯のガイドが甘く、主に2本の
小臼歯でガイドしていた。

 

治療と経過

 ケナログを貼薬し、咬合を調整した。
初診から12日後には、痛みが半分ほどに改善したが、ペリオドンを貼薬したところ、一時、痛みが増強し、その約2ヶ月後、自発痛(−)、水平打診痛(−)、頬側歯肉根尖相当部圧痛(+)となった。
更に半年後、温熱刺激で痛みが生じるようになったが、処置は行わず経過観察とした。
更に半年後、痛みは落ち着いて、CRインレーを直接法で作って装着し、治療終了となった。

 

考察
                                      
当科初診時のアンレー窩?の形態から齲蝕はあったとしても歯髄までの距離は十分あったと思われること、側方運動時に咬合が強く当たっていたことから、抜髄前の症状は咬合が 原因だったのではないかと思われる。
 その後、アンレー装着までは咬頭勘合位の咬合が無くなったため症状が改善していったが、アンレーの装着で咬合が再構築されて痛みが再発し、再根管治療となり、根管拡大と貼薬を徹底したことから、却って痛みが増強されていったのではないかと思われる。
 当科においては当初、機械的に根管をいじらず、ケナログを浅く貼薬したのみで痛みが改善していったが、再来時に根尖部の感覚を鈍麻できないかと考えてペリオドンを浅く貼薬したが、却って痛みを増強させる結果となってしまった。
その後の痛みの経過を患者に聞くと、ほぼ1ヶ月で痛みがかなり落ち着いていたことから、当初の痛みも目安をほぼ1ヶ月として経過観察すべきであったと反省した。
その後の温熱刺激は、ダメージを受けた組織が改善していく際に生じる過敏の状態と判断して、更に待ち、最終的な歯冠修復に到達することが出来た。

 

 

 

BACK HOME NEXT

 

Copyright© LSTR 2009-2011 . All Rights Reserved.